一般社団法人 日本インドア・グリーン協会
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植生誌
このコーナーは、(社)日本インドアグリーン協会員で東京グリーンサービス事業協同組合理事長の田中耕次氏が、熱帯・亜熱帯を巡り執筆された『熱帯植物巡礼』−室内植物の原産地を訪ねて−から抜粋したものです。
植生誌バックナンバー
■第二回 マレー半島(2)
 この国立公園は、入山料が10マレーシアドル、カメラ1台が10マレーシアドルを徴収される。管理棟と各コテージはタハン川とテンベリン川の合流三角地帯にあり、陸上交通が効かない場所では、川は重要な交通網であり、合流点はさしずめ銀座4丁目の交差点というところで、前日の午前6時半に家を出て、ここまで1日と10時間の長い旅でもあった。管理事務所を中心としたリゾートは、庭園がよく手入れされ、ノシバの刈り込み掃除も毎朝行なわれている。樹木も豊富に植栽されているが、花や果実の季節から外れているため、その派手さはない。ここはマンゴー(Mangifera indica)の原生地の1つで、他にウママンゴー(M.foetida)、ケマンガ(M.kemanga)、ランジュ(M.lagenifera)、ニオイマンゴー(M.odorata)など、野生種は10種類以上あり、果実の少ない時期では、樹木を見てもこれらを同定することはむずかしい。

ゾウコンニャク
ゾウコンニャク
Amorphophallus campanulatus

 川に向かう土手際には、大型のジンジャーが一部景観を塞いでいるため、基部より20-30cm残して刈り取られている。その中に後から生えたゾウコンニャク(Amorphophallus campanulatus)が高さ2m、巨大な羽状葉を展開している。英名はElephant-foot yam。塊茎には、コンニャクを作るデンプンはないといわれているが、姿形は日本のものと同じで、コンニャクデンプンを含んでいるのではないかと思われる。現地では、若い葉柄を煮て食べる。仏炎苞は平開し、大きな朝顔形で、紫紅色で美しい。これより大きいオオコンニャク(A.giganteus)やスマトラオオコンニャク(A.titanum)もあるが、花は本種が一番美しいとされている。
 川を遡上するとき、ピンクの花をつけている樹木がかなり目についた。オオサルスベリ(Lagerstroemiacalyculata)である。落葉高木で20m以上になり、一斉に咲くと見事である。日本にあるサルスベリはもともと東南アジア、オーストラリア原生種で江戸の中期にきたものである。オオサルスベリは沖縄県名護市の街路樹で見かける程度で、耐寒性がないということで、内地の植栽には適さない。
 マメ科植物の大木は、葉が弱風でもそよぎ、適度な光線が樹冠を抜け枝や幹、地上まで届く。したがって、樹下に生える植物も多く、幹や枝に着生するデンドロビウム、セロジネなどのラン、シノブやウラボシなどのシダ植物の数も多く、中でも見ごたえがあるのが、ハカマウラボシ属(Drynaria)である。この仲間は熱帯アジアに十数種あり、葉のつけ根にコウモリラン(ビカクシダ)にも見られるハカマをもち、樹上に群生する様子は圧巻である。
 食堂入口際に、カタバミ科のゴレンシ(Averrhoa carambola)の古木があった。名(五斂子)のとおり五つの稜があるマレー諸島原生の熱帯果樹である。花は小枝や幹に直接つく幹生花で、通常年三回収穫される。品種も多く、蜜桃、白糸桃、青鼻桃、酸桃など用途に応じて甘味、酸度がそれぞれ異なる。生食、ゼリー、野菜などに用いられるほか、蓚酸を多く含んでいるものは、羊毛を清潔にしたり、銅などの金属の侵食加工などにも用いられ、別名羊桃と呼ばれている。


つづく

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