一般社団法人 日本インドア・グリーン協会
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このコーナーは、(社)日本インドアグリーン協会員で東京グリーンサービス事業協同組合理事長の田中耕次氏が、熱帯・亜熱帯を巡り執筆された『熱帯植物巡礼』−室内植物の原産地を訪ねて−から抜粋したものです。
植生誌バックナンバー
■第二回 マレー半島(4)
 10月5日。本流テンベリン川上流28km、クアラ・ペルカイ(Kuala perkai)に向かう途中、クアラ・トレンガンに上陸する。ここにはジャングルを樹冠から見下ろし、観察できるよう吊り橋が3本、谷を囲むよう掛けられている。橋の全長は約200m。人員制限があり、1ブロック2、3人、それも間隔を置いて渡る。高い場所では約30m、吊り橋は、クワ科のベンジャミンゴムノキ、フタバガキ科のDipterocarps、Shorea、カンラン科植物(Canarium)、マメ科のケンパス(Koompassia malaccensis)やメンガリス(K.excelsa)などの大木を橋脚として利用し掛けられたもので、樹冠はまだまだ30m以上も上で見えないが、密林の中層木、低木の植生配置が一望にできた。

ジャングル放浪の民バテック族
ジャングル放浪の民バテック族

 帰路、ガイドの説明で、現地のバテック族数戸の集落があるということで急遽行くことになった。
湿潤なジャングルの小径はぬかり、養分に乏しいラテライト土壌で、有機質はほとんどなく、鉄分、アルミニウムを多く含み、学術的にはフェラルソル(Ferralsol)と言われている。アップダウンの山道で足元の定かでない状況では、1km行くのに1時間もかかってしまう。突然ガイドが道からそれて、藪の中に入っていった。藪をかきわけて入っていくと、原住民とおぼしき6、7人の半裸人間が、やっと背丈が立つ位の片流れ(小屋を半分に切ったような)の小屋[雨除けにヤシの葉を茸いただけの簡単なもの]の中で、焚き火を囲んで屯している。目的の集落ではなく、ジャングルで獲物を捕り、点々と移動して暮らしているバテック族であった。
計9人ほどいた。獲物は吹き矢で捕るとのことで、2段に伸びる3mもある吹き矢で猿や鳥などを狙うという。無論毒矢である。矢はおそらくコブダネヤシ(Oncosperma)の刺を使い、毒はマレードクヤシ(Orania macrocladus)の実を用いるのであろう。マレードクヤシはその小さな実(径20から28mm)に猛毒があり、一果で象も殺すといわれ、生長点にも毒を含み、ナガエクワズヤシの和名がある。
10分ほど写真を一緒に撮ったり、吹き矢の手解きを受け、あまり大勢で長時間お邪魔するのも獲物が逃げたりして迷惑であろうから、手持ちの弁当、菓子などを置いて退散することとなった。
定住するバテック族は、機を織る技術と染色に優れ、織物はバテック織りとして海外まで有名である。ジャングルの放浪の民に出会うのは誠に幸運で、その姿は物質文明にない幸せを改めてわれわれに考えさせる一幕であった。(終)
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