■第二回 マレー半島(3)
宿泊地を一歩出ると、そこは1億3千年前から手つかずの密林である。コースの小径以外はまったくの藪で刺のある植物が繁茂して入ることはできない。船で川を遡る時にも見かけたのだが、緑の丸葉でクテナンテと思われる植物があった。高さ3mにもなりジャングルの縁に多く植生している。カラテア属、マランタ属などのクズウコン科は植物図書によっては、熱帯アメリカが原生地と記載されているが、マレー半島のジャングルの中では、これらの属と思われるものに何度も出喰わしている。
クズウコン科はアメリカだけの特産植物ではないので、この点気をつけなければならない。
トレベシア(Trevesia bruckii)がヤツデ状の果実を垂らしている。ヤツデは頂生で植物の頂上に立つように成るが、トレベシアは下垂し、下部の幹から出る。これは最初頂生であったものが、熱帯では生長が早く、花穂が下になるかもしれない。
|
マツカサジンジャ
Tapeinochilus ananassae
|