

■第一回 マダガスカル島(3)
マダガスカルでは、8種のバオバブがあるといわれ、他にもアフリカに一種ある。バオバブの年齢は巨大なものは2000年とも5000年とも言われているが、年輪がなく大きさから判断するしかない。しかしマダガスカルの植生分布は海岸から沼地、乾燥地など、範囲が広く、やはり水分の補給が充分な地域では成長が早いと思われる。マダガスカルで最大のものは、マジュンガにある直径7.4mの個体であるが、アフリカには直径10m、なんと目通り30m以上というものがある。

バオバブ街道は、水田や沼の辺り、またはブッシュから天地を逆さまにして立っているようなバオバブが散在する。全てがアダンソニア・グランディディエリで、この聖なる樹は葉を茂らせていたが、この辺りはまだ転葉しておらず、採り残された果実がよく見える。果実は直径12cmほどの卵形で、外皮はコールテン状の褐色の細毛に覆われている。厚さ3mmの殻を割ると、中には発泡スチロール状の白い物体が詰まっており、径8mmぐらいの黒い種子がある。種子から油が採れ、フワフワしたスチロール状の果肉はラムネの味がして、そのまま食べられるが、水に溶かして飲料として利用されるため一般の市場で売られ、貴重な現金収入源となっている。従ってほとんどが採集されてしまうため、自然実生発芽は少なく、時代の若木は探してもまず見つからない。
バオバブ街道をさらに進むと形態の変わったバオバブがある。根元が徳利上に肥大し、各枝が少々下を向いているザー・バオバブと、やたら枝が暴れているフニイ・バオバブである。フニイ・バオバブはこの土地でも名物になっている。2本の幹がよじれて成長している巨木を見る。この辺はさらに乾燥地で新芽を吹く様子もない。バオバブは乾期が続いている時期、つまり一年の大半は落葉して、緑を茂らすのは極く短期間なのである。(終)


